海の魅力

2017/02/25

海の魅力

渡嘉敷の海に住む生き物たちやサンゴの不思議についてご紹介します。

渡嘉敷の海に住む生き物たち

ビルで住み分ける貝たち(ノッチの貝)

ビルで住み分ける貝たち(ノッチの貝)

石灰岩の岩礁は、あちらこちらが鋭くとがっていて転んだり手をついたりするとけがしてしまいそうです。渡嘉敷では石灰岩よりはるかに固い黒色や緑色の千枚岩という岩が多くみられますが、石灰分のたい積作用もあり、石灰岩がどんどんつくられている状況です。石灰岩は壊れやすく、侵食を受けやすいのに対し、千枚岩は堅くなかなか崩れません。長い年月の間に風や波が石灰質の岩を削って、家のひさしのようになっています。

刻み込まれてへこんでいるところをノッチといいます。その形もおもしろいのですが、ノッチの各部分で、すんでいる貝類や小動物が違います。ひさしの上の方は潮上部と呼ばれ、決して潮につかまりませんが、しぶきが飛んできます。

この潮上部にはコンペイトウガイなど、乾燥に強い貝がすんでいます。ノッチにはイシダタミアマオブネガイ、イボタマキビガイなどがいます。キバアマガイなどは潮の高さによって、上がったり、下がったりと毎日忙しく移動します。

ノッチの下の方は、比較的湿り気の多い部分で1mm程度の白い粒がたくさん見られます。これはアマオブネ類の卵です。

近づくと岩の壁面を走って移動するのはリュウキュウフナムシやオオイワガニなどです。自然が作り出した地形の微妙に変化する部分で、ほんの少ししか離れていないのに、そこにすんでいる生き物が違うのです。

ナガウニの仲間(方言名:ウニ)

ナガウニの仲間(方言名:ウニ)

何がながーいウニ?

ナガウニは岩礁の海岸で最も普通に見られます。ナガウニの仲間は大きさや色などで4つ(A~Dタイプ)のグループに分けられます。

ナガウニと呼ばれる由来はその形にあります。少し離れて、殻を見るとその意味がよく分かります。まん丸ではなく、長楕円形で、そのことからナガウニという名前がつきました。

棘の先が白いのがAタイプと呼ばれ、よく見られます。渡嘉志久や阿波連のビーチで水泳中に見られるのはことタイプです。

礁原に細長い穴を掘って入っているのはBタイプやCタイプと呼ばれています。大きな穴にはいくつか入っていることもありますが、たいていは一つの穴に一つずつ入っていて、他のウニが入ってくると追い出してしまいます。穴の中に生える藻をかじり取って食べています。棘の付け根が白く、輪になっているのがCタイプ、全体に真っ黒なのがDタイプです。体の一部のタンパク質を調べたり、卵からどのように発生していくかそれぞれを比較する詳しい研究が行われています。

かつてナガウニは、農業に利用されました。スイカやトウガンを栽培するときに、植え付け前に肥料として畑に埋め込みました。特に海に近い砂地の畑では運ぶのが楽で、大豆や、スイカ、うり類などの肥料として重宝されたそうです。

オキナワハクセンシオマネキとノコギリガザミ

オキナワハクセンシオマネキとノコギリガザミ

マングローブ域のカニ 方言名:ヌヌウーイガニグヮーとガサミ

干潮時に河口の砂泥の場所に近づくと、素早く穴の中に隠れてしまうカニがいます。しばらく待っているとどんどん出てきます。片方のはさみがとくに大きく、きれいな白色をしています。大きい方のハサミは目立ちますが、小さい方はほとんど見えません。カニ類の雌雄は腹の部分のふんどしでわかります。三角にとがっているのがオス、なめらかに円形になっているのがメスです。シオマネキ類の雌雄は大きなはさみで容易に区別することができます。

大きなハサミの第一関節の部分を曲げのばしして、振り上げたりおろしたりひっきりなしに振って、まるで手招きをしているようです。シオマネキ類がすんでいる場所は潮位と、底質の粒の大きさ、底質に含まれる有機物量に関係があります。

淡水と海水の混ざり合う汽水域には大型のノコギリガサミがいます。甲長は30cmにも達し、両方のはさみ脚を広げると70cm以上にもなります。オスはなわばり意識が強く、集中して生活することはありません。巨大なオスはハサミの開閉する奥が人間の臼歯のようで、貝を殻ごとわって食べることもあるようです。腹の部分のふんどしで雌雄を区別することができますが、大きなオスはツメが大きく目立ち、太さ1~8cmにもなり容易に分かります。

渡嘉敷の古い歌に「山の上から河口を見るとカニがハタ織りをしている」と歌われています。シオマネキ類の独特な動きを歌に入れたのでしょう。

オニヒトデ

方言名:トーガチチ、トーガチチャー

胃袋を外に出して食事

サンゴを食べる天敵としてもっとも悪名高いのはオニヒトデです。昼間はたいていサンゴの割れ目やテーブル状のサンゴの下に隠れています。サンゴが部分的に真っ白になっていれば、オニヒトデが近くにいると考えた方がよいほど、その食害ははっきり分かります。食べ方はサンゴの上に覆いかぶさり、体内から胃を反転させて外に出し、そのまま体外でサンゴを消化して吸収します。外に出された胃はうす黄色から白の半透明の袋状です。

全身に毒のあるトゲがあり、トゲに刺さると激しい痛みがあります。指先を刺されたら、指のつけねまでジンジン痛むほどです。誤って刺されたら、よくもみ続けてその場で血液と一緒に毒を出し、消毒薬をつけるとよいでしょう。10等分以上に切られてもちぎれた部分のそれぞれが生き残ったという観察例があるほど生命力旺盛です。

沖縄では海洋博の準備の頃を前後して、1972年頃からオニヒトデが大発生してサンゴの被害が多く出ました。いろいろな原因が考えられますが、オニヒトデの大発生は赤土などの環境汚染が原因なのか、周期的に起こる変化だったのかよく分かっていません。

オオイワガニとツノメガニ

オオイワガニとツノメガニ

方言名:アマガンとハマガナー

岩場と穴場のスプリンタ-

オオイワガニは黒と緑色が混ざった模様にオレンジ色の線があります。潮間帯の岩礁の切り立った崖で、人が歩くことが難しいような場所を、とてもスムーズに走り回っています。食用に採集され、特に、冬の夜のいざりの獲物のひとつです。カニは変温動物であるため、夏場は活動的ですが、気温が下がる冬場は動きがかなり鈍ってしまうのです。食用には身を食べるのではなく、主にみそ汁のだしをとるのに利用しています。

砂浜を走る5cm程度の小さなカニはツノメガニです。目玉が突き出して角のようになっているのでそのような名前がついています。真っ白なので砂浜では見失うこともよくあります。しばらく追跡すると砂に開いた穴の中に駆け込んで出てきません。細い棒をその穴に入れゆっくり動かしてみてください。怒ったツノメガニが棒の先をはさんで引っぱり出されてきます。砂浜でも、人が歩いてもあまりめり込まない固い場所に穴を掘っています。柔らかすぎる砂は、穴がすぐに崩れてしまいますし、大きな粒だと穴を掘ることが難しいのでしょう。阿波連小学校の周囲にも多くの巣穴が見られます。

旧暦の2月、風向きが変わるとツノメガニの穴の向きが変化します。このことを見つけた先人達はすごい観察力の持ち主でした。渡嘉敷では、子供が誕生したお祝の席で、捕らえてきたツノメガニを逃がします。一目散に逃げていくツノメガニにあやかって元気に育ってほしいという願いを込めるのです。

ヒメジャコガイ

ヒメジャコガイ

色とりどりのがいとう膜(シャコガイの仲間)

熱帯の海域にすみ、成長の速い貝です。成長の秘密はがいとう膜に共生している単細胞の褐色藻という原始的な植物です。シャコガイは水中に漂う餌を食べることに加え、褐色藻が光合成で作り出す栄養分を利用します。つまり、二重に栄養源を持っていることになるのです。そのため、シャコガイは日当たりがよく、褐色藻が活発になる場所にすんでいます。

ヒメジャコガイは比較的小さく、岩にはまり込んで生活しています。成長に合わせてどのように穴を大きくしてはまりこんでいるのでしょうか。それは、成長するのに伴い、体内から出す塩酸で周囲の石灰岩を溶かすのです。また、殻の外側のヤスリのようなひだで岩を削り、体にぴったりの穴に細工しているのです。その他、殻にヒレがあり、岩から少し浮いた状態でくっついているのがヒレジャコ、砂地に多く、岩石などにくっついていないので殻の厚いのがシャゴウです。シャゴウは身がかたくあまりおいしくないので獲物としては一般的ではありません。

沖縄県漁業調整規則で、シャコガイ類が減りすぎないように取り決めがあります。毎年6月1日~8月31日は採取禁止です。また、次の殻長以下の小さいシャコ貝は採集禁止にしています。ヒメジャコガイ(8cm)、シャゴウ(15cm)、ヒレジャコガイ(20cm)、ヒレナシジャコガイ(30cm)、ゆとりを持って貝採りを楽しみたいものです。

ジャノメナマコとクリイロナマコ

ジャノメナマコとクリイロナマコ

いったいどこが目なのでしょう?

ニセクロナマコよりやや深い場所で蛇の目模様の茶色っぽいナマコを見かけます。これはジャノメナマコで、模様は毒々しく見えることもありますが、毒はなくさわってもまったく問題ありません。もともと柔らかくはありませんが、手に取るとさらに硬直して堅くなります。

近くにいる栗色をしているのはその名の通りクリイロナマコで、食用に好まれる種類です。内臓を取り除いてゆでると30cm以上もあった体も5~10cmに縮んでしまいます。時間をかけて煮込むと柔らかくなり、かたいゼラチンのような歯ごたえです。以前は、潮干狩りに出かけると楽に採集することができたそうです。しかし、近年は数が減っており、20年ほど前までは歩いてとれたクリイロナマコも、泳がないと採りにくくなっています。むやみに採りすぎることは考えなければなりません。

ウデフリクモヒトデ

ウデフリクモヒトデ

満ち潮を知らせる

何もいないように見える潮だまりに海水がどんどん押し寄せてくると、岩の下や小さな穴からトゲトゲの腕をのばしてくる生き物がいます。カラカラに乾いた岩盤ではなく、少々水が残っている潮だまりの底の岩盤の穴に多く隠れています。腕の腹側を水面にして泡など手当たり次第に集めています。魚の切り身を潮だまりで振ってみて下さい、効果てきめんあちらこちらでどんどん腕を振り始めます。臆病な生き物で体全体を出すことはあまりありません。無理に引っぱり出そうとすると、腕がちぎれてしまいますが、うまく体盤(体の中心部分)を押さえると引き出すことができます。体盤は丸みを帯びた五角形で体盤の10倍程の腕が5本のびています。

満ち潮になると、沖の方から潮に合わせて腕ふりが始まり、岸に近い方の腕ふりが始まるころには先に腕振りを始めた場所の腕ふりは終わりです。

潮が満ちてくると、そろそろ観察を止めて引き上げる時間だと教えてくれています。

珊瑚のふしぎ

渡嘉敷の海には珊瑚がいっぱい。たくさんの珊瑚には色々な不思議が隠されています。

イノー(礁 池)に広がるテーブル(マイクロアトール)

イノー(礁池)に広がるテーブル

潮の満ち干は毎日2回ずつ、暑い日も寒い日も、休まず繰り返されます。浅い場所では、サンゴの群体が高く成長していくと、干上がる時間が長く空気中にさらされ続けることがあります。水面に出ると、日当たりが強く温度が高かったり、乾燥することもしばしばです。そのような理由で、浅瀬にすんでいるサンゴではある程度成長するとそれ以上成長できない限界の高さに達します。

その限界の高さでサンゴの群体が切り取られたようになっているのが分かります。

しゃがみ込んで横から見ると、他の群体も同じ高さで切り揃えられたようになっています。このような群体をマイクロアトール(小さな環礁)といいます。アトールとはサンゴ礁の典型的な地形で、ドーナツ形をして真ん中に池を残した島のことです。

島の海岸にサンゴ礁が発達する段階は大きく3つに分けられ、島の縁に少しくっついた珊瑚礁が裾礁、ボートが通れる程の水路が陸との間に広がっているのがほ礁、そして環礁です。最もすすんだ状態が、このアトール(環礁)地形だと考えられています。

このサンゴ礁の分類を最初に行ったのは、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンです。

サンゴ切り取って別 の場所で育てる (サンゴの移植について)

サンゴを増やすひとつの方法として、サンゴの技など群体の一部を別の場所に固定して定着させることがあります。定着がうまくいけば、おおきな群体にまで成長させることができます。ちょうど、植物で行う「押し木」と同様です。どうしてそのようなことができるかは次のような理由からです。それは、サンゴ群体のひとつひとつの穴に一固体ずつのポリプが生きています。そのポリプを移動させて増やしていくことで、遺伝的に全く同じクローンを増やしていくことになるのです。実験的には水中ボンドを用いて直接岩礁にくっつけたり、クギなどに針金で結びついたり、いろいろな方法が試されています。

自然状態でもサンゴがこわされてしまうことはよくあります。例えば、台風や強い波、他の生物の影響で、群体の一部がこわれてしまっても群体全てが死ぬとは限りません。こわれたサンゴ群体のかけらがたどり着いたところが生育に適していれば幸運です。そこで生き続け、大きな群体に成長することも十分に期待できます。

サンゴは移植が可能ですが、成長が遅く、微妙な環境の変化に大きく影響を受けます。移植で群体を増やすことができても、その成長過程は容易ではないのです。群体を折ったり傷つけないように気をつけて、ダイビングやシュノーケリングを楽しみたいものです。

満月の夜の神秘(サンゴの放卵・放精)

満月の夜の神秘

サンゴが子孫を増やすときは、卵や精子あるいは幼生を放出します。放出の時期は5月~7月の満月の前後で、申し合わせたように卵や精子、幼生の放出を行います。3~4日の期間中に多くのサンゴが日没後しばらくすると、一斉に放出を行います。平成9年の6月の観察によると、午後9時頃から深夜2時頃まで観察できました。一斉に行われる放卵放精や放精放出は彼らにとってどのような利点があるのでしょう。それは、大量にかつ同時に放出を行うことにより、外敵から生き残る確立を高めているものと考えられます。

モズク養殖の縄張りに使った鉄筋が、海中に忘れ去られたところがあります。その鉄筋には、サンゴがついていてよく成長していることがあります。ハナヤサイサンゴやミドリイシの仲間が多いようです。もちろんサンゴの群体が泳いできたはずはありません。サンゴの赤ちゃんであるプラヌラ幼生が鉄筋に定着したのです。潮通しや日当たりなどの好条件が重なって大きく成長したのです。夏の初めの繁殖のときに出てきた幼生がしばらく海水中を泳ぎ回ったのち運良くたどり着いたのです。驚くほど成長したサンゴたちは水中で行われるポット栽培かと思うほどです。